本作は2001年に上映されて以降、次々と次回作がヒットした言わずと知れたファンタジー映画の最高傑作です。今回はロケ地巡礼、作者JKローリングの過去や名言に関する情報から本作の魅力を考察していきます。

ロケ地巡礼

イギリス・オックスフォード

本作の舞台となるのは魔法界の学校であるホグワーツです。ホグワーツでは学生寮があり、他の学生と生活を共にしながら魔法を学ぶ場所です。そのホグワーツのロケ地となっているのが、イギリスのオックスフォード大学です。オックスフォード大学は世界でも有数の名門校であり、観光地として世界中から多くの人が訪れています。
そんなオックスフォード大学ではホテルのように一般人から宿泊できる場所があります。本作で主人公ハリーや友達のロン、ハーマイオニーと食事をする有名な食堂や図書館もオックスフォード大学で疑似体験することが可能です。オックスフォードの学生に交じって食事をしホグワーツの世界を体験してみるのはいかかですか。

日本・ユニバーサルスタジオジャパン

日本のユニバーサルスタジオジャパンでもホグワーツの世界観を体感することができます。本作の食事シーンにあったロンがとうもろこしにかぶり付いたり、ハーマイオニーがナイフとフォークを持ち食事をするシーンを体感することができます。

魔法界へ向かうキングズ・クロス駅が選ばれた理由

イギリスのキングズ・クロス駅が魔法界へ向かうシーンで登場します。キングズ・クロス駅はイギリスに実際に存在する駅で現地の人や観光客に愛されている駅です。本作でキングズ・クロス駅が登場する理由は作者JKローリングの思い出の場所からだと以前のインタビューで答えています。キングズ・クロス駅はJKローリングの両親の出会った場所だといわれています。本作の大きなテーマでもある両親の愛が、キングクロス駅を選んだ理由にも関係していたのです。キングズ・クロス駅にはプラットホーム9と3/4があり、記念写真をすることも可能です。プラットホーム9と3/4といえばウィーズリー一家とハリーが出会うシーンです。ハリー1人ではきっとプラットホーム9と3/4に向かうことはできなかったはずです。ウィーズリー一家との出会いはハリーにとって大切な出会いだったといえるでしょう。

作者の過去とハリーの幼少期の関係性

本作の物語ではJKローリングの過去に類似している部分が多く見受けられます。たとえば主人公ハリーは幼少期に両親を亡くし、叔母一家に引き取られ暮らしていました。叔母一家から冷たく扱われ、苦労の多い幼少期でした。各故、作者JKローリングも本作の本が大ヒットするまでは生活保護を受けながら娘と生活するシングルマザーでした。ですが、無職で貧乏な生活を送りながらも執筆を続け、本作がヒットしたことにより世界でも有数の有名作家となり、富と名声を手に入れました。その姿はまるでハリーが魔法界で知らない人はいないほどの有名人だというところにつながります。

登場人物の意外な裏側

アルバス・ダンブルドア

ホグワーツの校長でヴォルデモートに唯一恐れられていたというアルバス・ダンブルドア。本作でも重要な登場人物ですが、アルバス・ダンブルドアを演じる俳優はシリーズの途中で変更されました。本作である賢者の石と2作目の秘密の部屋ではリチャード・ハリスが演じ、その後はマイケル・ガンボンが演じました。
ダンブルドアはお菓子好きで子供っぽいようなチャーミングな一面を持つ反面、宿敵ヴォルデモートが唯一恐れる魔法使いでもありました。世間ではヴォルデモートは死んだと認識されていましたが、ダンブルドアはいつかヴォルデモートが復活してくることを予測していた数少ない人物です。
そしてハリーがヴォルデモートの復活に大きなかぎを握ることも密に予想していました。ハリーがへび語を話せるところ、組み分け帽子がスリザリンに入れようとしたところ、両親を失い孤独に育った幼少期、不死鳥の尾羽を使用した杖などヴォルデモートとハリーには多くの共通点がありました。その多くの共通点とハリーがヴォルデモートの悪夢を見るなどを知ったダンブルドアはいち早くハリーの今後の運命を悟ります。しかし本作でのダンブルドアは決してその運命を悟ったことをハリーに感じさせることはありませんでした。チャーミングで信頼できる先生の一面以外に冷静で少し残酷な未来を悟っていたなど、誰も予想していなかったことでしょう。

セブルス・スネイプ

本作で印象的な登場人物であるスネイプもハリーの宿命を後に知ることになります。スネイプは事あるごとにハリーに厳しく冷たく接します。その姿からスネイプを苦手に思う人も多かったことでしょう。しかしその背景には、ハリーがいつかヴォルデモートによって死ななければいけない時が来るということを知り、その時までハリーを守るという強い愛情が隠れていました。スネイプはハリーの母親であるリリーを心から愛していました。自分の愛する人の子供を守るために、ハリー自身には冷たくしながらも本当は守っていたところにスネイプの深い愛情を感じます。

ネビル・ロングボトム

本作でネビルは祖母に育てられたやさしくて少し間抜けな男の子です。本作でもスリザリンのマルフォイに揶揄われるシーンがありました。しかし本作の後半では、ハリーとロンとハーマイオニーに勇気をもって立ち向かいます。そんなネビルですが、ネビルはハリーと同じように幼少期に両親をヴォルデモートによって殺された過去をもちます。ネビルの両親は純血ですが、ハリーの両親は母親のリリーがマグルです。そのため、ハリーはヴォルデモートに狙われ、ネビルは狙われなかったと予測できます。もしネビルの両親のどちらかがマグルでネビルに保護呪文をかけていたら、ネビルがハリーのように有名人になっていたかもしれません。

JKローリングが作品から伝えたいテーマ

作者JKローリングは本作を通じ人生で大切なことを伝えています。それは2008年ハーバード大学の卒業式のスピーチで語られています。

真の友情

本作でも大きなテーマである真の友情です。作者の信頼できる友人のなかには、ハリーポッターシリーズで登場するデスイーターに友人の名前を使用したことがあり、その友情に感謝しているとスピーチで述べています。本作の後半でもハーマイオニーやダンブルドアなど真の友情の大切さについて語っています。それは作者自身が大切にしていることであり、本作を通して世界中の多くのこどもたちがそのことを学ぶことができたといえるでしょう。
・失敗や挫折
2つ目は失敗や挫折です。作者にはハリーポッターシリーズが出版されるまで複数の出版社で断られた過去がありました。それでも今や世界的作家として映画化シリーズも記録的大ヒットとなりました。本作でもハリーは不遇で孤独な幼少期を育ちました。しかしホグワーツに入学することになり、魔法界に訪れたとたん自分が有名人だということに気づくその様子やホグワーツに入学し活躍していく姿は作者の体験に類似しています。

両親の愛

本作の最大のテーマである両親の愛です。本作ではあらゆる場面で両親の愛が表現されています。ハリーが幼いころ、ヴォルデモートの攻撃を防ぐことができたのも母親のリリーから保護呪文を受けていたおかげであり、保護呪文は古い魔法で死の呪文であっても防ぐことができます。ホグワーツに入学するまで両親のことを何も知らないハリーですが、実は外見や才能など様々な面で両親を受け継いでいることを知る姿はだれもが共感できるシーンです。

まとめ

本作は魔法界の魅力が詰まったファンタジー映画です。しかしそのファンタジーのなかには人間味のあるテーマや想いが詰まっています。それは作者の経験や想いによるものであり、それらのテーマが本作の魅力により火をつけたといえるでしょう。作者のスピーチにはこのような言葉がありました。
「人生は困難で複雑、コントロールできるものではないが、物語と同じように人生も長さよりどれだけ素晴らしいかが重要だ」。ハリーは11歳にして魔法界へ渡り宿敵ヴォルデモートに対立することになります。11歳になるまでに両親の死や不遇な幼少期を過ごしてきました。ですがホグワーツに入学し仲間に出会いさまざまな経験を通して、ハリーの人生はすばらしいものになっていくことでしょう。

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