本作はハリーポッターシリーズの6作目であり最後のシリーズです。ハリー達は分霊箱を探す旅に出ることになり、最終的にはヴォルデモートと全面戦争することになります。ヴォルデモートを倒すには死の秘宝にまつわる物語やダンブルドアの過去も深く関わっています。またハリー達の子供も本作終盤で少し登場しますが、細かくは紹介されていません。そこで本作では描かれていない原作に基づいた物語や設定について紹介し考察します。

・ハリー達が求める死の秘宝とは

本作のタイトルにもある死の秘宝は透明マント、ニワトコの杖、蘇りの石の3つです。この3つを手に入れたものは死を制する者といわれ、若かりし頃のダンブルドアをはじめ多くの魔法使いを魅了してきました。この3つの死の秘宝にはそれぞれの魅了があり、自分だったらどれが欲しいか多くのファンが考えたことでしょう。本作では描かれていませんが、原作ではハリー、ロン、ハーマイオニーがそれぞれどれを選ぶべきか述べています。

・ハリーが選んだ死の秘宝

ハリーが選んだ死の秘宝は蘇りの石でした。理由を考えてみると納得です。ハリーは幼少期の頃に愛する家族、ホグワーツ5年生の頃に名付け親のシリウス、そしてヴォルデモートの全面戦争によりリーマスを失っていました。人一番多くの死と向き合ってきたハリーが愛する人たちともう一度会うために蘇りの石を選ぶのは納得してしまいます。

・ロンが選んだ死の秘宝

ロンが選んだ死の秘宝はニワトコの杖です。優秀な兄たちに囲まれて育ってきたロンにとってニワトコの杖は劣等感を払拭するにはぴったりのアイテムだったかもしれません。ニワトコの杖は魔法界のなかでも最強の杖です。ロンだけでなく長年ニワトコの杖は多くの魔法使いを魅了してきました。そしてそれはダンブルドアもヴォルデモートも同様です。

・ハーマイオニーが選んだ死の秘宝

ハーマイオニーが選んだ死の秘宝は透明マントです。蘇りの石の使用期間は永遠ではなく、ニワトコの杖は敵も多く所持しているだけで危険が伴います。聡明なハーマイオニーが選んだ透明マントが一番安全で長い期間使えるアイテムだといえるでしょう。「三人兄弟の物語」でも透明マントを選んだ3男が長い期間、死から逃げ続けることができました。透明マントは一番有能なアイテムなのかもしれません。

・死の秘宝に共通する人物

この3つの死の秘宝を所持していたのが人物が2人います。それはハリーとダンブルドアです。ハリーは3つのアイテム全てを同時期で所持していたわけではありませんが、蘇りの石をホグワーツ1年生の頃に一時的に所持し、透明マントもホグワーツ1年生の頃から所持していました。そして本作の全面戦争でニワトコの杖を手に入れました。そしてダンブルドアは3つのアイテム全てを同時期に所有していた可能性が高いです。ハリーがホグワーツ1年生の頃、蘇りの石はダンブルドアが管理していたことは明らかであり、透明マントはクリスマスにハリーに贈るまではダンブルドアの手元にあった可能性が高いです。そしてニワトコの杖はダンブルドアが死ぬまでダンブルドアが所有者でした。ダンブルドアはハリーがホグワーツに入学する頃には死を制する者として今後訪れる死をすでに受け入れる準備ができていたのかもしれません。

・ダンブルドアの過去

本作までダンブルドアの過去について描かれることはほとんどありませんでした。ダンブルドアは若い頃から明確に自覚しているほどに聡明で才能あふれる魔法使いでした。そしてダンブルドアと同様に聡明で野心家だったグレンデルバルドと出会い、両親を失い病人の妹と神経質な弟を家に置いたまま、死の秘宝を探す旅に明け暮れたのでした。そのことがきっかけで家族と不仲になり、家族との争いに巻き込まれ病気がちの妹アリアナは14歳でなくなってしまいました。この出来事をきっかけにダンブルドアに深い悲しみと後悔の念を抱くようになりました。

・ダンブルドアの家族

ダンブルドアはハリーが敬愛する一面だけでなく複雑な家庭環境で育った人物でした。自分たちの争いに巻き込んだことにより妹アリアナを死なせてしまった罪悪感はホグワーツの校長に就任したときまで残っていました。それはヴォルデモートの分霊箱である蘇りの石が使われた指輪をはめてしまった行動から想定がつきます。その指輪をはめることで、亡くなった妹や両親をよみがえらせ、不仲の弟とも仲睦まじく家族が寄り添う姿を夢見ていたのかもしれません。仲睦まじく寄り添う家族を夢見るのはハリーだけでなく、ダンブルドアも同様だったからこそ、ダンブルドアはハリーの孤独のさみしさを理解することができたのかもしれません。ハリーはホグワーツ1年生の頃、自分の家族が映るみぞの鏡に魅了されたことがありました。その時ハリーはダンブルドアの場合みぞの鏡に映っているのか何か尋ねました。ダンブルドアはその時、靴下を持っていると答えましたが、それは嘘なのではないかとファンの中で多くの声が上がっています。本当はハリーと同じように亡くなった家族と不仲の弟が集まった様子が映っていたのではないかといわれています。

・ダンブルドアが死そのものである

本作の終盤ではハリーとヴォルデモートが直接対決し、ハリーはダンブルドアと再会します。天国なのか夢なのかわからない場所でハリーとダンブルドアは会い、ハリーは再び目覚めます。あの時、ダンブルドアはハリーの中にあるヴォルデモートの一部を「死」として迎えにきたのかもしれません。ダンブルドアがどこまで想定し先を見据えていたのかはわかりません。ですが、もしそこまで見据えてスネイプに自分を殺すよう指示を出していたのであればダンブルドアは紛れもなく史上最強の魔法使いだといえるでしょう。

・ハリーとジニーの子供

本作の終盤にはハリー達が大人になり、結婚し子供をキングスクロス駅まで送るシーンがあります。長男のジェームズや次男のアルバスはこげ茶色の髪に茶色の目や青い目のため、ハリーによく似ています。末っ子の長女リリーは赤茶色に近い髪で小さいときのジニーに似ています。ジェームズ、アルバス、リリーはそれぞれハリーの両親やダンブルドアの名前をもらっています。偉大な名前を付けられることにプレッシャーを感じてしまうかもしれません。ですがハリーが知らず知らずのうちに「生き残った男の子」「選ばれし者」といわれたように、そのプレッシャーが勇気や自信を与えてくれることも多いことでしょう。

・ロンとハーマイオニーの子供

ハリー達の子供が登場するようにロンとハーマイオニーの子供も本作の終盤に登場します。本作では一瞬しか登場しませんが ロンとハーマイオニーの長女ローズも汽車に乗ってジェームズやアルバスと一緒にホグワーツへ向かいます。長男ヒューゴはまだホグワーツに入学していないので、ハリーとジニーの長女であるリリーと同じタイミングでホグワーツへ入学することも考えられます。ローズは長身で赤茶色の髪をしているため、ロンの兄である高身長のフレッドとジョージにも似ています。

・まとめ

以上、本作では描かれていない原作に基づいた物語や設定について紹介し考察しました。本作はpart1とpart2に分かれていますがどちらも長編です。ですが、原作には映画では描かれていないこまやかな設定が存在します。原作を読んで本作をみたらより楽しめること間違いなしです。

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