本作はハリーポッターシリーズの6作目です。前作の終盤でヴォルデモートが完全復活したことでハリーは選ばれし者として世間から今まで以上に注目をあびるようになります。本作ではそれぞれのキャラクターの師弟関係が明白になり本作の物語のカギになっています。今回は本作でわかる師弟関係、恋愛関係、謎のプリンスの正体、ダンブルドアの死、本作で新登場する魔法グッズについて紹介します。

・ドラコ・マルフォイとスネイプの師弟関係

今までは意地悪な生徒という印象だったドラコですが、徐々にヴォルデモート側に加担していくのが本作で描かれています。今までは偉そうにしていたドラコですが、本作でヴォルデモートから任された任務に対する不安や恐怖が描かれています。ドラコを演じているのはイギリス出身のトム・フェルトンです。トムは長年ドラコを演じるにあたり白い肌を保つため、ビーチに行くときも強めの日焼け止めクリームを塗るなど、私生活でも注意をしてきたそうです。本作のなかではハリーと対立してばかりのドラコですが、俳優同士は仲が良く撮影が終わったいまでも親交を深めているといわれています。そんなドラコを演じたトムは1作目の「賢者の石」と比べ、ぐっと大人っぽくなりヴォルデモートに対する苦悩や恐怖の表情に引き寄せられます。今までスネイプとも良好な師弟関係でしたが、本作ではスネイプとドラコが対立し今までのシリーズになかった師弟関係が表現されています。ドラコの「自分でできる」という使命感と自立心と裏腹にスネイプの「失敗は決して許さない」という心配する気持ちが対立しています。

・ダンブルドアとハリーの師弟関係

ダンブルドアは今までのシリーズでは見守る側でいることが多くありましたが、本作ではダンブルドアが自らヴォルデモートを打ち砕くべく奮闘します。その奮闘し時に苦しみ藻掻くダンブルドアをハリーは懸命に支えます。ダンブルドアを助けたい気持ちを押し殺し、ハリーはダンブルドアの言いつけを守る姿が印象的でした。

・スネイプとダンブルドアの師弟関係

本作中ではスネイプとダンブルドアが校長室で話しているシーンは多くはありません。本作では明確にスネイプとダンブルドアの師弟関係は描かれてはいませんが、スネイプの行動がダンブルドアへの忠誠心を表しています。またダンブルドアもスネイプを深く信頼し、ハリーの今後やヴォルデモート対策についても密にスネイプに伝えていることが後に判明します。今までのシリーズではお茶目で優しいイメージのダンブルドアでしたが、本作ではダンブルドアが多くの情報を網羅していること、先見の明があり、頭がきれる人物であることが明確に表現されています。その姿が本作をよりシリアスで深みのある内容に変化させているのではないでしょうか。

・ジニーとハリーの恋愛関係

「炎のゴブレット」からホグワーツの恋愛事情が描かれていましたが、本作ではハリーの片思いが描かれています。またハリーが選ばれし者として周りの女子生徒からちやほやされ、ハーマイオニーがびしっと正すシーンは今までにないコミカルさが出ています。ファンの多くがお気に入りのシーンだと感じるのではないでしょうか。

・ロンとハーマイオニーの恋愛関係

本作ではロンとハーマイオニーの恋愛関係についても描かれています。自分の気持ちに気づいているハーマイオニーに対し、明確に自覚がないロンのやり取りが青春映画を見ているかのような印象を受けます。特に医務室でのやり取りでロンがハーマイオニーのことを呼んだ時のハーマイオニーの表情は、ラベンダーに勝ったうれしさや名前を呼んでくれた高揚感が伝わります。ロンがあまり自覚していない様子も本人の性格がにじみでています。

・謎のプリンスの正体

謎のプリンスの正体はスネイプであることが本作終盤で明らかになりました。このことでスネイプが半純血であることや学生だった頃優秀な生徒であったことが判明しました。ハリーポッターシリーズの中でもスネイプの過去について描かれている部分が少なく、回想シーンでも少ししか登場しません。そのなかでわかっていることは、幼少期にリリーと仲が良く恋していたこと、ホグワーツに入りジェームズ達にからかわれて泣いていたこと、大人になってもリリーのことが忘れられずリリーが死んだときは深く悲しんだことなどが全シリーズのなかの回想シーンで登場します。回想シーンに登場するスネイプはホグワーツで教師をしている現在の姿とは異なる部分が多く、驚いた人も多いのではないでしょうか。スネイプの人間性に関しては最終シリーズの「死の秘宝」で明らかになります。

・ダンブルドアの死

本作のなかで最も衝撃的なシーンがダンブルドアの死ではないでしょうか。世界でも有数の偉大な魔法使いでありヴォルデモートが唯一恐れていた魔法使いであったダンブルドアが死んでしまうシーンは、あまりにも衝撃的でした。スネイプが殺したことも、目の前でダンブルドアを殺されたハリーの心情は計り知れません。きっとドラコではダンブルドアを殺すことができなかったでしょう。ドラコがもしダンブルドアを殺したら、ハリーがそのドラコを殺していたかもしれません。そして今後、闇の力に勝てるのかホグワーツが不穏な雰囲気へと変わり続編へ続く様子に今後の展開の予測が止まりませんでした。そしてダンブルドアの死がハリーを分霊箱を探す旅へといざない、その姿は手に汗握る展開の始まりに過ぎないことを後に知りました。

・本作で新登場する魔法グッズ~惚れ薬~

惚れ薬はフレッドとジョージが開店し繁盛しているいたずら専門店ウィーズリー・ウィザード・ウィーズで女子に大人気の魔法グッズです。この惚れ薬を飲ませれば自分のことを好きになってくれるという恋に悩むホグワーツの生徒にぴったりの薬で、本作でもハリー宛のお菓子に惚れ薬が含まれていました。その効き目はそのお菓子を食べたロンを見れば一目瞭然の効果で、現実世界にあったら爆発的人気になったことはまちがいないでしょう

・本作で新登場する魔法グッズ~フェリックス・フェリシス~

フェリックス・フェリシス(幸運の液体)はそれを飲んだ人に幸運をもたらし全ての出来事がうまくいく魔法グッズです。ハリーはスラグホーンの魔法薬の授業で手に入れ、ダンブルドアが知りたい情報を得るためにその薬を使いました。またこの薬はクィディッチのようなスポーツや試験では禁止されています。どの世界にもこのような使用禁止の薬があるのがわかります。この薬を飲めば全ての出来事がうまくいくといわれていますが、もともと備わっていない能力を生むことはできません。あくまで可能性を最大限に生かすことができるというのがこの薬の効果のため、使用するタイミングや目的が重要で扱い方に注意が必要といわれています。

・まとめ

以上、今回は本作でわかる師弟関係、恋愛関係、謎のプリンスの正体、ダンブルドアの死、本作で新登場する魔法グッズについて解説しました。本作では甘酸っぱい恋愛事情もあればダンブルドアの死やドラコの苦悩などシリアスで暗いシーンも多く、物語も複雑化されています。次回作の「死の秘宝」では分霊箱を探す旅が始まりますが、本作の終盤で登場した「RAB」についても真相が明らかになります。次回作では1作目の「賢者の石」からこれまでのシリーズ全ての作品に散りばめられている伏線がカギになります。本作ももう一度見直してから次回作に進むことをおすすめします。

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