本作はハリーポッターシリーズの4作目です。本作では3大魔法学校対抗試合が開催され、ホグワーツ以外の魔法学校が登場し、後半には宿敵ヴォルデモートが完全復活し4作目にしてアンハッピーエンドで終わる作品です。今回は本作で新たにキャスティングされた俳優の魅力、ホグワーツの恋愛模様と新たな登場人物の親子関係、また完全復活するヴォルデモートとハリーの杖に着目し考察します。

1本作からキャスティングされた俳優たち

・セドリック・ディゴリー役ロバート・パティンソン

ロバート・パティンソンはイギリス出身の俳優で後に2008年に公開されたトワイライトシリーズが大ヒットして有名になった俳優です。ロバートは本作と次回作のハリーポッターシリーズに出演し、人気キャラクターであるセドリックを演じたことで注目を浴びました。ハリーポッターシリーズは1作目の「ハリーポッターと賢者の石」で203憶円もの興行収入となり、2作目3作目も大ヒットした作品です。そのため4作目の人気キャラクターを演じたロバートは、人生の大きな起点だったといえるでしょう。反響がすさまじく顔が世間に知れ渡る環境の変化は、ロバートの人生に大きな影響を与えたのはいうまでもありません。

・チョウ・チャン役ケイティ・リューング

ケイティ・リューングは香港人を両親にもつイギリス出身の女優です。本作では、ハリーに片思いをされるレイブンクローの生徒を演じています。ホグワーツはイギリスにある魔法学校のため、アジア人の生徒は少なくアジア系のチョウは希少な存在です。今までのハリーポッターシリーズで恋模様が描かれることはなかったため、ハリーから思いを寄せられるチョウは作品が公開された当時、ファンからさまざまな反応があったといわれています。ですがダンスパーティーのシーンでチャイナドレスをアレンジしたドレスを着て登場したチョウは、ハリーが見惚れてしまうようにチョウにとって魅力的なシーンだったといえるでしょう。
2ホグワーツの恋愛模様

・セドリックとチョウ

前作まではグリフィンドールの生徒が中心の物語でしたが、本作ではグリフィンドールやスリザリン以外の寮生が活躍するシリーズです。セドリックはハッフルパフの生徒でクィディッチではシーカーとして活躍していました。周りからも慕われ友人も多く、誰に対しても誠実であることは3大魔法学校対抗試合のフェアプレーを心がけているシーンから伝わります。そんないかにも人気がありそうなセドリックと付き合っていたのがチョウです。チョウはレイブンクローのシーカーです。レイブンクローのスローガンは「知識」や「知恵」であるように、何事にも真面目で人当たりのよさそうな性格がハリーと話すシーンからもわかります。またハリーがチョウに話かけにくかったようにいつもチョウの周りには友人がいました。きっとセドリックのように多くの友人に恵まれていたのでしょう。このようにセドリックとチョウは、2人ともクィディッチのシーカーで友人も多く、周りから慕われる人気者同士でした。お似合いのカップルでハリーが嫉妬してしまうのも無理はありません。

・ロンとハーマイオニー

いままで友人同士だった2人ですが、本作で一気に恋愛要素が2人の関係に入ってきます。ダンスパーティーの相手を申し込むのにもたもたしているロンとしびれを切らして他の人の申し込みを受けたハーマイオニーの関係性はいつみても面白く2人の性格をはっきりと表しています。いつもテキパキと行動し、賢く、友人想いのハーマイオニーがロンの言葉に傷つき泣いている感傷的な姿は今までのシリーズになく繊細なシーンとなりました。またそんなハーマイオニーとロンの間であたふたしているハリーの姿も新鮮です。そしてダンスパーティーのハーマイオニーのドレス姿は、公開当時からいまもファンの間で人気です。そのため、ユニバーサルスタジオジャパンのウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッターでは、ダンスパーティーでハーマイオニーが着ていたドレスが展示されています。

3新たな登場人物の親子関係

・権力者の父バーテミウス・クラウチと犯罪者の息子クラウチ・ジュニア

本作のあらすじの鍵をにぎるバーテミウス・クラウチとクラウチ・ジュニアですが、バーテミウス・クラウチは国際魔法協力部長であり権力者です。クラウチ・ジュニアはその息子で死喰い人(デスイーター)でありヴォルデモートの手下でした。本作でバーテミウス・クラウチは自分の息子を死喰い人であることを理由にアズカバンに送り「もうお前は息子ではない」と決別します。厳格で徹底した裁きを行う権力者の父とその裁きを受けることになった息子。あまりにシリアスな展開です。そしてその後その息子に父バーテミウス・クラウチは殺されてしまうので、サスペンス要素満載なシーンになっています。

・息子が自慢の父エイモス・ディゴリーと優秀な息子セドリック・ディゴリー

息子セドリックは、ダンブルドアが「ハッフルパフの特性を多く備えた模範的な生徒だ」とたたえるほど優秀な生徒でした。一方、エイモスは魔法省の魔法生物規制管理部に勤め、いたるところで優秀な息子を自慢していました。そしてその自慢のなかにはハリーに対抗する発言もあり、それはハリー本人を目の前にしても堂々と発言しています。そんな父を謙虚になだめているセドリックが良心的な性格を表しています。本作終盤にセドリックが殺され、エイモスが人をかき分け自分の息子のもとへ駆け寄る姿はあまりにもせつなく悲しいシーンでした。

4ヴォルデモートとハリーの杖を徹底解説

本作の後半ではついにヴォルデモートが完全復活しお互いの杖を使い決闘をします。ヴォルデモートとハリーの杖が兄弟杖であることは1作目の「ハリーポッターと賢者の石」で明らかになっています。しかしヴォルデモートとハリーの杖の材質にはさらに2人の性格が表れています。

・ヴォルデモートの杖

ヴォルデモートの杖の芯は不死鳥の尾羽根でハリーと芯が同じのため、兄弟杖といわれています。杖の材質はイチイの木です。イチイの木は実際に存在する木でヨーロッパの神話で「死者の復活」や「再生」などの意味があるとされています。その理由はイチイには毒性があるからです。そのため動物が近づくこともなく、ヨーロッパでは墓地付近に植えられていることが多いです。一方、日本では神社のご神木としても利用されることもあります。「死者の復活」や「再生」を表す木でヴォルデモートの杖が作られていることに納得してしまいます。

・ハリーの杖

ハリーの杖の芯は不死鳥の尾羽根で材質はヒイラギです。ヒイラギとは「不死」や「魔除け」の象徴とされています。またイエス・キリストの冠にはこのヒイラギが使用されていたといわれ、魔除けを込めてクリスマスの飾りにも使用されています。日本でもお正月や節分の飾りにヒイラギが使用されています。「不死」や「魔除け」を表すヒイラギは、ヴォルデモートと戦うハリーにぴったりの材質だといえるでしょう。

5まとめ

本作では、他校との親善試合やホグワーツ内の恋愛模様など青春映画のようなシーンも多くありました。しかしシリアスな親子関係やヴォルデモートの復活、友人の死など悲しい展開で幕が閉じるのは前作までにない流れです。本作からヴォルデモートとの戦いが加速していくのがわかります。今後のハリーポッターシリーズの展開に期待しましょう。

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