ミスチルの曲の歌詞はほぼ全てボーカルの桜井和寿氏が書き、プロデューサーの小林武史氏が編曲したものです。

桜井氏の世界観が反映された歌詞は多くの人の共感を呼び、まるで「名言の宝箱」とでもいうような数々の名フレーズは、多くのファンが日常の中で思わず口ずさむほどの人気があります。

今回はミスチルの様々な曲の歌詞の中でも最も印象的だと思われる歌詞フレーズをランキング20個としてピックアップして紹介しています。

目次のところに曲名と、それぞれの曲の「印象的なフレーズ」を置いていますので、気になるところから読んでもらっても、上から順に読んでもらってもかまいません。

それでは、以下にそれぞれの歌詞フレーズと解説を紹介していますので、お好みでご覧ください。

HANABI

誰も皆、問題を抱えている。だけど素敵な明日を願っている

誰も皆 問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風がたった世界を
どれだけ愛することができるだろう?
もう一回 もう一回
もう一回 もう一回

サビの「もう一回 もう一回」という歌詞がとても印象的なHANABIは2008年にリリースされました。
ミスチルの曲の中でも最も人気が高い曲です。
ドラマ「コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON」の主題歌にも起用されています。

この曲に歌われているテーマは、なんとなく人生を上手に生きてきた一方で、漠然とした現状への不満や未来への不安を抱えつつも、恋する人と過ごす幸せを心から噛みしめたいという心です。
ずっと一緒にいられるかどうかもわからないという臆病な気持ちや、幸せのためには犠牲が付き物だというニヒルな感情がある一方で、幸せな未来を願い続けたいという希望を歌っています。

心に曇りを感じているからこそ、恋人と過ごす瞬間の幸せに「もう一回、もう一回」としがみ付くような気持ちを表現しています。

桜井和寿氏がこの曲をつくったときの印象的なエピソードとして、桜井氏自身が飼っていたペットの金魚の話があります。
金魚がなぜか徐々に衰弱していく姿に心を痛めた桜井氏は、ペットショップに相談したところ、水は常に揺れ動くことで新鮮な酸素を取り入れていないとすぐに腐ってしまい、水の中で生きる金魚を弱らせてしまうということ。

このエピソードから桜井氏は、水と同じように人間の心も喜怒哀楽を通じて揺れ動くことで、澄んだ心になるというインスピレーションを受けたそうです。
この曲の後半部分で「透き通ってく水のような、心で荒れたら・・・」という表現があるように、様々な感情を常に心に浮かべて、澄んだ心で生きていきたいという思いが込められた曲です。

Tomorrow never knows

無邪気に人を裏切れる程、何もかもを欲しがっていた。分かり合えた友の愛した女でさえも。

無邪気に人を裏切れる程
何もかもを欲しがっていた
分かり合えた友の愛した女でさえも
償う事さえ出来ずに今日も傷みを抱き
夢中で駆け抜けるけれども まだ明日は見えず
勝利も敗北もないまま孤独なレースは続いてく

ミスチルファンなら誰もが知る名曲「Tomorrow never knows」は1994年にリリースされた曲で、ドラマ「若者のすべて」の主題歌にもなっています。
最近では若い人の間で「トゥモネバ」と略した愛称で呼ばれている曲でもあります。

この曲で歌われているテーマとしては、まだ恐れを知ず、夢や希望のために「無邪気」と表現できるほど悪気なく人を裏切り傷つけてきたピュアな若者時代の自分を懐かしみつつも、これからの人生においても、競争の中で争いながらも希望を胸に生きていきたいという、やや達観したような静かな自信と決意の心です。

「勝利も敗北もないまま孤独なレース」というフレーズからも、今までもこれからも競争社会でガムシャラに、目の前の勝負に力を注ぎ続け、走り続けていく自分の姿が読み取れます。

特に「無邪気に人を裏切れる程、何もかもを欲しがっていた。分かり合えた友の愛した女でさえも。」というフレーズは、思春期の若かった自分を懐かしむような、男性なら誰しもが共感し心に残るような見事な表現だと言えます。

作曲時の逸話としては、桜井氏がジョギングをしている最中に歌詞を思いつき、歌詞の作成作業はほんの30分ほどで完了したというエピソードがあります。
よく芸術家がいう「アイデアが頭に降りてきた」といった感覚に近かったのかもしれません。

MVではサビの部分で、オーストラリアの大きな峡谷(グレートオーシャン・ロード)の断崖絶壁に立って歌う桜井氏の姿が空撮されており、ファンの間ではあまりにも有名な映像として知られています。

シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~

劣等感を逆手にとってわがままばかりの君が、隠し持った母性本能は凄い

恋なんて言わばエゴとエゴのシーソーゲーム
Ah… いつだって君は曖昧なリアクションさ
友人の評価はイマイチでも She So Cute
Ah… 順番を待ってたんじゃつらい
勇敢な恋の歌

劣等感を逆手にとってわがままばかりの君が
隠し持った母性本能は凄い

カラオケでもよく歌われるこの曲は、1995年にリリースされたアップテンポな曲です。

リズム・歌詞ともにポップな雰囲気に包まれており、疾走しながら意中の女性と恋の駆け引きに力を注ぐ男性の姿がテーマになっています。
サビの「恋なんて、いわばエゴとエゴのシーソーゲーム」はミスチルをよく知らない人でも聴いたことがあるほど有名なフレーズで、若い男女の恋愛の中で、お互いに「こんな恋愛がしたい!」というエゴを押し付け合い駆け引きしながらも、どこか喜劇のようなイメージが伝わってきます。

男女がお互いに嫉妬し合ったり、恋の主導権を取り合うという、若々しい青春の1ページを描いたような歌詞になっています。

また「劣等感を逆手にとってわがままばかりの君が、隠し持った母性本能は凄い」というフレーズは、よくこんな詩が思いつくものだと感心させられるほど、若い男性が女性に振り回されつつも女性の魅力にハマっていく様子が上手に表現されています。

劣等感(容姿のコンプレックス)に触れないように気を遣ってくれる男性の態度をいいことに、男性に対して偉そうな態度をとったりすることもある彼女だけど、いざ大人の関係になると女性的な一面を見せてきてドキッとするというような意味でしょう。

ミスチルにとって大きな躍進をした後の節目となるタイミングだったので、桜井氏いわく「猿になった気持ちで新たなリスタート」という思いを込め「とにかく盛り上がる曲」にしたいという意図で作曲されました。
CDジャケットのイラストも猿の絵がモチーフになっています。

抱きしめたい

もしも君が泣きたい位に傷つき肩を落とす時には、誰よりも素敵な笑顔を探しに行こう

キャンドルを 灯すように
そっと二人 育ててきた
形のない この想いは 今はもう 消えはしない
震えそうな夜に 声をひそめ 君と
指切りした あの約束 忘れてやしないよ
心配しないで 君だけを 見ている

もしも 君が 泣きたい位に
傷つき 肩を落とす時には
誰よりも素敵な 笑顔を 探しに行こう

恋する気持ちをストレートに歌ったこの曲は、1992年にリリースされました。
ドラマ「ピュア」の挿入歌に起用されたほか、2017年にもNTTドコモのCMに使われています。

曲のテーマとしては、彼女のことを想うストレートで誠実な愛情が歌われています。
ミスチルの曲の中では最も「誠実でまっすぐな愛情」を歌った曲だと言えるでしょう。

過去に恋愛で傷ついてきた彼女の乙女心を丁重に扱いながら、2人の関係をこれまで築いてきて、これからもその関係を守っていきたい、そのために、傷つけるようなことはしないと誓うようなイメージが表現されています。

過去に彼女が傷ついた恋愛の記憶のせいでおそらく彼女は恋に対して少し臆病になってしまっているのですが、そのような彼女の過去も含めて優しく包み込んであげたいという思いが歌詞に現れています。

作曲時のエピソードとしては、もともと桜井氏としてはクリスマスソングとして書いていたため随所に冬を思わせる歌詞フレーズが散りばめられているという話があります。
また、先輩である宮田和弥氏の結婚式に披露するつもりで作曲されましたが、結局結婚式で歌われることはなかったという逸話もあります。

Sign

ありふれた時間が愛しく思えたら、それは”愛の仕業”と小さく笑った

「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返して僕ら
人恋しさを積み木みたいに乗せてゆく

ありふれた時間が愛しく思えたら
それは”愛の仕業”と 小さく笑った
君が見せる仕草 僕に向けられてるサイン
もう 何ひとつ見落とさない
そんなことを考えている

2004年にリリースされた曲で、ドラマ「オレンジデイズ」の主題歌として有名です。
ドラマの内容にそって桜井氏が書き下ろした歌詞は、ありふれた日々を大切にする思いがテーマとなっています。

日常の何気ない瞬間、ありふれた時間が愛しく思えたとしたら、そこにあるものがきっと「愛」なのだろうというメッセージは、同じくミスチルの人気曲「名もなき詩」にどこか通じるものがあります。

パートナーとして共に時間を過ごす相手からのメッセージは、全てが言葉としてではなく、何気ないやりとりの中で一種の「サイン」として送られてくるものであるからこそ、2人の関係を大切にするためには、自分からそのサインを正しくキャッチし、言葉にならない彼女の気持ちを汲んであげられることが大事なんだと決意しているという内容です。

穏やかな2人の時間を大切にしたい、という、落ち着いた恋の在り方が表現されていますね。
本当の意味での「永遠」なんてものは存在せず、いつかは終わりがきてしまうから、その時になって後悔しないよう、一生懸命に愛し合いたいというメッセージが、ドラマの内容ともシンクロしています。

またこの曲は、住友生命のCMソングとしても起用されています。

しるし

いろんな角度から君を見てきた。そのどれもが素晴しくて、僕は愛を思い知るんだ。

ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴しくて 僕は愛を思い知るんだ
「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
今、微妙なニュアンスで君は示そうとしている

2006年にリリースされたこの曲は、ドラマ「14才の母」の主題歌としても有名です。
桜井氏自身もこの曲を「最高のラブソング」と表現している通り、熱い恋の気持ちを歌っている曲となっています。

サビの「ダーリン ダーリン~」と叫ぶように歌うところが印象的で、カラオケでも本気用の曲として人気です。
曲の後半に進むほど、歌と言うより「叫び」に近いような、迫真のメロディは聴く人の心に響きます。

歌詞の細かなニュアンスとしては、恋のスタートは「軽はずみな恋」つまり、勢いですぐに大人の関係になってしまったけれども、一緒に過ごしていくうちに少しずつ相手の魅力に気づき、引き込まれ、心の底から好きだという想いにまで到達したという意味になっています。

「異性として好き」という感情を超えた、人間として相手のことを尊敬しているという意味もあわせた「好き」という感情があるからこそ、どんな角度から相手を見ても「素晴らしい」と感じられるという意味も含まれています。

ただ、やはり恋のスタート地点が「軽はずみ」だったからこそ、相手は自分のことをまだ、心の底からは信用していないというイメージも表現されている歌詞となっています。

innocent world

近頃じゃ夕食の話題でさえ仕事に汚染(よご)されていて、様々な角度から物事を見ていたら自分を見失ってた

近頃じゃ夕食の 話題でさえ仕事に汚染(よご)されていて
様々な角度から 物事を見ていたら自分を見失ってた

入り組んでる 関係の中でいつも帳尻 合わせるけど
Ah 君は君のままに 静かな暮らしの中で
時には風に身を任せるのもいいじゃない
oh miss yourself

物憂げな 6月の雨に 打たれて
愛に満ちた 季節を想って 歌うよ

1994年にリリースされたこの曲は、その年の日本レコード大賞を受賞し世間でも大きな注目を集めました。
サビの「いつの日もこの胸に流れてるメロディー」の歌詞部分は非常に有名で、ミスチルのライブでは観客がそろって歌うことも多いパートです。

曲のテーマとしては、現代人(例えば、サラリーマン)が道に迷ったり、少し心が疲れたりしてしまう哀愁を受け入れつつも、その先に微かな希望を描こうとするポジティブさをやや厭世的に表現しています。

「近頃じゃ夕食の話題でさえ仕事に汚染(よご)されていて、様々な角度から物事を見ていたら自分を見失ってた」という歌詞部分などは、「いろんな角度から物事をみろ!」などとよく言われがちな社会に対するひとつのアンチテーゼとして、共感できる人も多いのではないでしょうか。

作曲時のエピソードとして、桜井氏自身もアーティスト活動に少し疲れてきた時期に「この曲を書いてスッキリした」と語っているように、自身の心の底に堆積したモヤモヤを昇華し、吐き出した曲と言う逸話があります。

ミスチルのターニングポイントとも言えるほどメッセージ性の強い曲です。
また、ドリンクの「アクエリアス」CMソングとしても起用されています。

名もなき詩

愛はきっと奪うでも与えるでもなくて、気が付けばそこにある物

愛はきっと奪うでも与えるでもなくて
気が付けばそこにある物
街の風に吹かれて唄いながら
妙なプライドは捨ててしまえばいい
そこからはじまるさ

この曲は1996年にリリースされた曲で、同年の年間シングルランキングで1位となりました。

曲のテーマとしては、現代社会の荒波の中で挫折したり、自分の欲望に振り回されたりして生きている「ありのままの自分」を認めつつ、もがきながら愛に希望を見出していきたいという心情を綴っています。

サびの「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて、気が付けばそこにある物」というフレーズは、ミスチルの全ての曲の中でも最も有名な「名言」だとファンの間では言われていたりします。

愛というものは探し回ったり、それを手にしようと苦心して悩みがちだけど、じつはそれは「気が付けばそこにあるもの」つまりパートナーと時間を積み重ねていくことで「後からついてくるもの」だということを表現しています。

妙なプライド(=くだらない恋の駆け引きや、表面的なかっこつけの恋愛)を優先していては、「気が付けばそこにある愛」にはたどり着けないということでしょう。

ありのままの自分で心地よく感じられる関係であれば、いつか本物の愛みたいなものがすぐそばにあるものなのでしょう。
「名もなき詩」という題名そのものからも、変に飾らず、キレイゴトを並べず、ありのままの自分を出していきたいというメッセージが伝わってきます。

終わりなき旅

高ければ高い壁の方が、登った時気持ちいいもんな。まだ限界だなんて認めちゃいないさ

難しく考え出すと 結局全てが嫌になって
そっとそっと 逃げ出したくなるけど
高ければ高い壁の方が 登った時 気持ちいいもんな
まだ限界だなんて認めちゃいないさ

この曲は1998年にリリースされた曲で、ドラマ『殴る女』の主題歌にもなっています。
曲のテーマとしては、未来の夢や希望に向け、辛くても努力を積み重ねている今の自分を鼓舞していくような内容になっています。
つい逃げ出したくなるという弱い気持ちを受け入れた上で、それでも未来の希望を信じる気持ちを強く持ち、前に進んでいこうというメッセージが込められています。

たとえば受験生や、何か大きな目標に向け努力を積み重ねている人を元気づけるような、応援ソングのイメージもあります。
途方もない壁のまえに心がおれ、くじけそうになったとしても、「高ければ高い壁の方が、登った時気持ちいいもんな。」と自分に言い聞かせ、またひとつづつ努力を積み重ねていこうというポジティブさが伺えます。

またこのフレーズは、ミスチルのライブでも観客がメロディに合わせ合唱することも多いパートです。

ミスチルはこの曲の発売以前にしばらく活動休止していたのですが、この曲のリリースを機にまた本格的に活動を開始しました。
そうした背景からも、「これからまた努力を重ねていこう」という桜井氏自身の状況ともマッチした、応援ソングだと言えるでしょう。

365日

砂漠の街に住んでても、君がそこにいさえすれば、きっと渇きなど忘れて暮らせる

「ひとりきりの方が気楽でいいや」
そんな臆病な言い逃れはもう終わりにしなくちゃ

砂漠の街に住んでても
君がそこにいさえすれば
きっと渇きなど忘れて暮らせる

この曲は2010年にアルバム「SENSE」の収録曲としてリリースされた曲です。
曲のテーマとしては、一途に恋人を想い続ける誠実でまっすぐなな恋心を表現した内容になっています。
心情としては、恋い焦がれた相手のこと以外はどうでもよくなったような、ボーッとして空を眺めているような情景をイメージさせています。
曲で描かれている状況としては、恋い焦がれる相手とはまだ恋仲にはなっていないか、または付き合って間もない頃というタイミングに思えます。

サビの「砂漠の街に住んでても、君がそこにいさえすれば、きっと渇きなど忘れて暮らせる」のフレーズは、まさにドラマチックな恋の告白をイメージさせるような、印象的でセンスの良い言い回しになっています。
365日、つまり1年の間、毎日ラブレターを綴るというほどに、相手への恋心が高まった心情をストレートに表現する曲です。

逆説的に「君がいない世界」=「砂漠のように渇きを感じる世界」と表現しているともとれます。

ミスチルの曲の中には、シングルとしてではなくアルバム内のカップリング曲としてリリースされたものでも人気の高いものがありますが、この「365日」はそんな有名カップリング曲の代表例とも言える曲でしょう。
またこの曲は、NTT東日本、NTT西日本およびNTTドコモのCMソングとして起用されています。

足音 ~Be Strong

今という時代は言うほど悪くはない。また一歩、次の一歩、靴紐を結び直して

今という時代は
言うほど悪くはない
また一歩 次の一歩 靴紐を結び直して
喜びを分かち合い
弱さを補い合い
大切な誰かと歩いていけるなら

この曲は2014年にリリースされ、ドラマ『信長協奏曲』の主題歌にもなっています。

歌われているテーマとしては、辛いことや悲しいことに出くわしてしまうこともある現代の世の中だけど、恐れず前向きに生きていけば必ず自分をサポートしてくれる人との出会いに恵まれ、幸福な未来に近づいていけるというポジティブなメッセージです。

「靴紐を結びなおして」「この足音を聞いてる誰かがきっといる」など、自分の足で歩いていく(=自分の意思で歩く決意)というポイントが強調されている点からも、自分の意思による行動(=力強く歩く)によって、必ず味方になってくれる人が集まってくるという希望を歌っています。

そうして歩いていくうちに、いつしか大切な人が周りに集まるようになっていくのだから、現代と言う社会は世間で言われているほど悪いものではない、と優しく勇気づけてくれるような曲です。
人は傷つけあうこともあるけれど、喜びも分かち合えるんだということですね。

作曲時のエピソードとしては、桜井氏がドラマに向けて何度も手直しした末、やっと「これだ!」と思える内容に仕上がったという話があります。
桜井氏自身も「強さと優しさを併せ持つ、そんな曲」と表現しています。

また、この曲はスポーツの世界でも通用するようなポジティブなメッセージ性を持っていることから、東京ヤクルトスワローズ・雄平外野手や埼玉西武ライオンズ・金子侑司内野手の登場曲にもなっています。

GIFT

「白か黒で答えろ」という難題を突きつけられ、ぶち当たった壁の前で、僕らはまた迷っている。迷ってるけど

「白か黒で答えろ」という
難題を突きつけられ
ぶち当たった壁の前で
僕らはまた迷っている 迷ってるけど
白と黒のその間に
無限の色が広がってる
君に似合う色探して やさしい名前をつけたなら
ほら 一番きれいな色
今 君に贈るよ

この曲は2008年にリリースされた曲で、NHK北京オリンピック・パラリンピック放送テーマソングとしても起用されました。
オリンピックのTV放送では必ず耳にする曲でしたので、社会全体にも広く認知されていました。

曲のテーマとしては、例えばスポーツなどの世界において、もちろん誰もが「勝利」や「1位」といった結果を求め努力を積み重ねてはいる一方で、白か黒か、勝ちか負けかという二項対立だけで物事をとらえるのではなく、様々な観点から物事をとらえることにより多様な価値観から自分を肯定できるようになる、というメッセージです。

また、もともと世界は白と黒の2色、勝者と敗者という2者だけで成り立っているのではなく、様々な個性や特技を持った多様な人々がお互いに関連し、協力し認め合うことによって成り立っています。
だからこそ、たとえ何かの勝負に敗れたとしても、何かしらのフィールドで「自分にしかできないこと」を見つけることはできるよという意味ですね。

また、「GIFT」という言葉自体が、「神様から与えられた才能」の意味もあり、もともと皆が何かしら才能を持って生まれてきているから、それを自己発見する過程で勝利や敗北を経験するのだから、すべてのことには意味がある、というニュアンスも含まれています。

その他、この曲はオリンピックのテーマソングとして以外にも、資生堂の化粧品のCMソングとしても使用されました。

CROSS ROAD

誘惑に彩られた一度だけの誤ちを、今も君は許せぬまま暮らす毎日

誘惑に彩られた 一度だけの誤ちを
今も君は許せぬまま 暮らす毎日

冷たい風に吹かれて たたずむマテリアル・ワールド
立ち止まる cross road さまよう winding road
傷つけずには愛せない

この曲は1993年にリリースされた曲で、ミスチルの歴史の中では初期の頃の作品です。

曲のテーマとしては、若い男性が彼女にフラれた(もしくは、フラれかけている)状況で、別れるのはつらいけどまた新たな恋に向かって歩き出そう、というイメージをポップに表現しています。
ミスチルの初期の頃の作品と言うこともあり、青春の1ページを描いたという印象の一曲です。

男性が若さゆえに軽はずみな浮気をしてしまい彼女に愛想をつかされてしまうのですが、それでも「傷つけずには愛せない」と諦めてしまっているあたり、好奇心旺盛で元気な若い少年(青年)らしさが表現されています。

「CROSS ROAD」というタイトルにも、恋人とはここで違う道を選び、その先には輝く未来が待っている、つまりまだまだ先は長く、これからも素晴らしい出会いはお互いあるわけだから、別れたとしてもそう悲観的に捉えすぎることもない、というニュアンスも含まれていますね。

別れの曲にありがちな物悲しい感じではなく「フラれちゃった!けどありがとう、お互い元気で!」というような軽快な雰囲気を、ポップな歌詞とメロディによって表現している一曲です。
若い頃は誰しもそんなものだ、というサッパリとした諦観が見えますね。

くるみ

気が付けば一つ余ったボタン。同じようにして誰かが持て余したボタンホールに出会う事で意味が出来たなら

どこかで掛け違えてきて
気が付けば一つ余ったボタン
同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに
出会う事で意味が出来たならいい
出会いの数だけ別れは増える
それでも希望に胸は震える

この曲は2003年にリリースされた曲で、タイトルの「くるみ」とは「これから来る未来」という意味が込められています。

曲のテーマとしては、これまで生きてきた中で沢山の希望や期待を胸に抱いてきたからこそ、沢山の失望や別れも経験してきたから、つらい思い出は永遠に消えることはないけれど、同じような感情を共有できる人との新たな出会いは素晴らしいものであって欲しい、という希望を歌っています。

今まで、最終的には別れや失望で終わってしまったとしても、素晴らし出会いは沢山経験してきたから、これからも同じように胸が高鳴るような出会いを期待してポジティブに生きていきたいという意味です。

ただ曲全体のニュアンスとしては、もう決して若くない年齢の自分にとって、もう取り返せない若かりし日の素晴らしい思い出にとらわれてしまっている一抹の哀愁も漂っています。(これは、年をとると誰しもが共感できる部分ですね。)

作曲時のエピソードとして、桜井氏自身も「この曲がMr.Childrenの原点のような気がする」と語ったそうです。

またこの曲は、NTTドコモ・NTTドコモ東北のCMソングや、千葉ロッテマリーンズ・涌井秀章投手の入場曲としても起用されています。

himawari

君の覚悟が分かりすぎるから、僕はそっと手を振るだけ

優しさの死に化粧で
笑ってるように見せてる
君の覚悟が分かりすぎるから
僕はそっと手を振るだけ

「ありがとう」も「さよなら」も僕らにはもういらない
「全部嘘だよ」そう言って笑う君を
まだ期待してるから

この曲は2017年にリリースされた曲で、浜辺美波が主演の映画「君の膵臓をたべたい」の主題歌として書き下ろされたものです。

曲のテーマとしては、恋い焦がれる女性との別れに直面した男性が、彼女がスッキリとした表情で未来へ向かう眩しい姿をどう受け止めていいかもわからず、恋心を断ち切ることもできず、別れ話がなかったことになる可能性をつい信じてしまっているというイメージの内容です。

恋い焦がれる相手と別れる理由は、単にフラれるという以外にも、様々な事情があります。
この曲が主題歌となった映画のように病気や、あるいは転勤・転校、様々な事情で「恋人との別れ」は起こりえます。

しかしそんな現実を受け入れ、まっすぐな気持ちで未来へ向かっていく、まるで「ヒマワリ」のように凛とした美しい彼女の姿に、男としてはさらに見惚れるばかりで、とうてい想いを断ち切れそうにないと言った状況です。
同じような状況にある男性なら、誰しもが共感できるような歌詞となっています。

また、細かなニュアンスとして、女性は「ヒマワリ」と表現されているように常に太陽(=明日への希望)を真っすぐに向いている一方で、男性である自分はどちらかというと自信なさげで、心に弱さを抱えているという形で表現されています。
弱い部分のある男だからこそ、まっすぐ生きる心の強さを持った彼女に対して、別れに直面した今もなお心惹かれてしまうといった心情でしょう。

桜井氏は映画に向けこの曲をつくった当時、「自分の想像を超え、また新しい力を与えてくれる曲」といったコメントを残しています。

星になれたら

この街を出て行く事に決めたのは、いつか君と話した夢の続きが今も捨て切れないから

この街を出て行く事に
決めたのは いつか 君と
話した夢の 続きが今も
捨て切れないから

何度も耳をふさいでは
ごまかしてばかりいたよ
だけど 今度はちょっと違うんだ
昨日の僕とは

この曲は1992年にリリースされた曲で、ミスチルの2枚目のアルバム「Kind of Love」に収録されている、ミスチルの初期の頃の一曲です。

曲のテーマとしては、夢を追うために故郷を捨て、都会へ向かう若者の「やってやるぞ!」という意気込みの気持ちを表現したものになっています。
ミスチルがアマチュアの時代から歌われていた曲で、若かりしミスチルの桜井氏自身が音楽の道へ志した際の心情ともオーバーラップする内容になっています。

故郷を出て、まだ見たこともない都会へ出ていくのはもちろん怖いけど、後悔したくない気持ち、そして夢を叶え大きな花を咲かせたい思いが若い自分の背中を押し、友達や家族の引き止めもふりきって夢に向かって行動を起こす心情が描かれています。

これから何が起こるかわからないけど、きっと素晴らしい未来が待っている。そんな思いに胸を高鳴らせる若者の青春の姿がイメージされます。

また、この曲からイメージされる「音楽という夢を追うため東京へ出る若者の気持ち」という精神性はミスチル以外の他のアーティストにも広く共感されており、ライブやフェスなどでも、スキマスイッチなど多くのアーティストがカバーや共演を行っています。

Everything (It’s you)

守るべきものは、ただ一つ。君なんだよ

僕が落ちぶれたら 迷わず古い荷物を捨て
君は新しいドアを 開けて進めばいいんだよ

STAY
何を犠牲にしても 手にしたいものがあるとして
それを僕と思うのなら もう君の好きなようにして
自分を犠牲にしても いつでも
守るべきものは ただ一つ
君なんだよ

この曲は1997年にリリースされた曲で、ドラマ「恋のバカンス」の主題歌にもなっています。

曲のテーマとしては、日々の慌ただしさの中で時間に追われ、将来に不安を感じることはありつつも幸せを感じながら生きる自分にとって、愛する相手は「自分にとっての全て」、つまり、他のことを犠牲にしてでも守るべき存在だという愛情の想いを歌った曲です。

また、愛する相手も自分と同じように何か夢や目標のために忙しくも充実した日々を過ごしている中で、少し立ち止まりたくても立ち止まれないような、自分と同じような苦しさを抱えているのでしょう。
だからこそ、お互いにお互いを「犠牲を払ってでも守るべき愛」と思うことによって、日々の忙しさの中で2人の関係が崩れてしまって欲しくない、という願いも込められています。

この曲に歌われているように、夢や目標に向かって精一杯に今を生きる人にとって「時間」というものはとても貴重で、恋人との時間などはつい後回しになり、合う約束もキャンセルになってしまうことはよくありますよね。
そうした中で愛を守っていくためには、お互いがお互いを「犠牲を払ってでも手にしたい、守りたい人」と強く想うことが大切という点は、共感できるものだと感じられます。

「僕が落ちぶれたら、迷わず古い荷物を捨て、君は新しいドアを開けて進めばいいんだよ」というフレーズも、夢に向かって一生懸命な若者が愛する人を尊重し、パートナーとして胸を張れる自分でいたいという想いを持っていることが伝わります。

youthful days

日常が押し殺してきた、剥き出しの自分を感じる

日常が押し殺してきた 剥き出しの自分を感じる

繋いだ手を放さないでよ
腐敗のムードを かわして明日を奪うんだ

胸の鐘の音を鳴らしてよ
壊れるほどの抱擁とキスで
あらわに心をさらしてよ

この曲は2001年にリリースされた曲で、ドラマ「アンティーク 〜西洋骨董洋菓子店〜」の主題歌にもなっている曲です。

曲のテーマとしては、社会の中でどこか少し鬱屈とした生きづらさを感じる恋人同士が、2人でいる時には他の誰にも邪魔されず、干渉されることもなく、本能をむき出しにして精神的な自由を楽しみながら、愛に身をまかせ心地よさを感じることができるという内容になっています。

「日常が押し殺してきた、剥き出しの自分を感じる」という表現からも、なんとなく社会全体を覆っていた鬱屈とした感情に抑圧されていた「自分」というものを、2人きりの状況でなら思うまま開放し、愛を謳歌できるといった心情が伝わってきます。
そうしたシーン全体が、「すばらしき若き日々」というコンセプトともマッチしています。

歌詞の中には少しオトナな表現も含まれますが、これは子供から大人になる境目の年代の若い男女の関係の中で、社会への適合や、恋愛の大人の世界を知って行く文脈の中で、ストレスを感じたり、その反動で野性的な感情が際立ったりするイメージが浮かびます。

作曲時のエピソードとしては、桜井氏が小説「GO」を読んだ際、ヒロインのイメージに重ね合わせながら書いたという話もあります。
また、この曲はキリンの「キリンレモン」CMソングとしても使われました。

口笛

その香り、その身体、その全てで僕は生き返る

その香り その身体 その全てで僕は生き返る
夢を摘むんで帰る畦道 立ち止まったまま
そしてどんな場面も二人なら笑えますように

この曲は2000年にリリースされた曲で、恋人への想いをポップなメロディに乗せて歌っている曲です。

曲のテーマとしては、恋仲にある2人が一緒にいられる、幸せに満ちた日常の中で何気なく2人で歩いた際に、いつも見慣れた街の風景が(自分たちの幸せな日々を投影したように)美しく見え、上機嫌に口笛を吹いた音も優しく響き渡っているというように、穏やかな恋の喜びを表現しています。

恋人の存在に身も心も満たされているこの幸せがずっと続きますように、という穏やかな願いが込められています。
一緒にいることで安らぎを感じられるような恋人がいる人には、とても共感できる歌詞でしょう。

「よどんだ町の景色さえ、ごらん、愛しさに満ちてる」や「どんな場面も二人なら笑えますように」の歌詞にあるように、恋人と一緒にいて満たされた気持ちであれば、どのようなことが起きてもポジティブに捉えることができ、穏やかな心で受け止めることができるという心情を表現されています。

「口笛」ということ自体が、人が上機嫌のときにすることですので、恋人といる時間にふいに口笛を吹くときは誰しも、似たような思いを抱いているということかもしれません。

この曲の優しいメロディはミスチルファンの間でも非常に人気が高く、「会員が最もライブで聴きたい曲」で1位に選ばれたこともあります。

HERO

人生をフルコースで深く味わうための、幾つものスパイスが誰もに用意されていて

人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり
渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って食べる
君の側に僕は居たい

この曲は2002年にリリースされた曲で、父親から子供への愛を歌った曲です。

この曲のテーマとしては、父親である自分が子供の頃は「世界を救うヒーロー」を夢見ていたけれど、年齢を重ねるごとに大切な人が増え、子供までできた今となってはかつて夢見たヒーローのように、世界のために自分の身を危険にさらすことなんてできない臆病さを身に着けてしまったけれど、ただ愛する子供には全てを与えてあげたいし、子供にとってヒーローのような男でありたいという想いを描いています。

「人生をフルコースで深く味わうためのスパイス」に表現されているように、これから子供が大人になっていく時間の中で様々な苦労や、辛いこと、悲しいことも経験するだろうけど、それらすべてを糧にして素晴らしい未来を手に入れる我が子の姿を見て居たいという、父親なら誰しもが共感できる深い愛の心が見て取れます。

この曲がリリースされる前、桜井氏は小脳梗塞によりアーティスト活動を休止していました。
休止からの復帰後初のリリースとなったのがこの曲で、桜井氏自身も「病気の時に思った気持ちとリンクしている曲」とコメントしています。

またこの曲は、NTTドコモのCMソングとしても使われています。